18年9ヶ月生きた愛犬、アキちゃん。2002/10/4~2021/7/10

Life

アキちゃん

アキちゃんインダハウス

名前はアキ。秋にうちに来たからアキ。 雑種で中型の口は長め。色は柴犬の女の子。うちに来る前は千葉県の犬吠埼で、段ボールに5匹で入っていたところを拾われたらしい。そのうち1匹をおじいちゃん家、もう1匹をうちで引き取った。名前はおじいちゃん家がまいちゃん、うちがアキちゃん。

うちに来る以前についてはこちらのリンクから。うちに来たのは、0歳の時。 まっしゅ・るーむ 5匹の子犬の物語 

見つけてくださり、拾ってくださり、本当にありがとうございました。

若かりし頃

私が小学1年の時、彼女はうちに来た。それはそれは落ち着きのないハイテンションな犬で、何度問題を起こしたことか。アキは最後まで人懐っこくなかったが、りりしく激しい犬だった。そうクールでホットな犬だった。

最初は家族全員ガブリ!と嚙まれていたが、だんだんと馴染んできて 家族には噛まなくなった。さらにアキは早いうちから人を上下関係で見ていて、 末っ子の私は最下層。常になめられていた。さらに家族・親戚以外は全員「敵」で、誰にでも容赦なく嚙みついた。一方おじいちゃん家のまいちゃんは落ち着いていて人懐っこかった。またどちらも独特な性格を持っていて、本当に可愛かった。

最初アキは、リードに繋がず家で放し飼いにしていた。しかしよく脱走して何度か人を噛んでしまったため、玄関で繋いで飼うことに。その後も家の近くを通る人には、全力で吠えていた。そのため 最初アキは、リードに繋がず家で放し飼いにしていた。しかしよく脱走して何度か人を噛んでしまったため、玄関で繋いで飼うことに。その後も家の近くを通る人には、全力で吠えていた。そのためアキが全部知らせてくれるから、長い間インターホンが壊れていても直す必要は無かった。

鳴き声に関しては近所迷惑で申し訳ないと思っていた。しかし私が大きくなってからご近所さんに「いつもうるさくて、すみません」という言うと、「不審者が近寄れないから助かっている」と言われ、アキはこの地域の守護神になっていたんだと感心した。そしてご近所さんにはだんだんと吠えなくなっていった。

またよく玄関から顔を出していたため、アキは家の顔だった。そしてアキは、玄関が自分の居場所だと自覚したらしく、リードを取っても玄関に落ち着いていた。

世話

アキは、散歩がとにかく好きだった。末っ子の私はよく「散歩だれ行く争い」に敗北し、よく散歩へ連れて行った。今思うと、アキが散歩に連れて行ってくれていた訳だが。アキは道路脇に沿って私の前を勢いよく歩いていた。そして他の犬が通ろうものなら、遠いところから臨戦態勢に。そして近くを犬が通った瞬間 飛びついていた。それを止めるのも、散歩に行く人の仕事。また広場に放すと とんでもない速さで延々と走り、誰も追いつけなかった。

散歩は朝と夕方の2回。散歩後はビニールで拾ったうんこをトイレに流し、その後エサをあげる。これが18年間のアキの世話ルーティン。おかげで家の周辺に、短い散歩コースや長い散歩コースが何通りもある。

またアキは誰かが帰ってくると、毎回しっぽを降って嬉しそうにお迎えしてくれた。これはかわいいポイント。だが寝るときにリードを付け忘れると、もれなくゴミ箱が漁られ翌朝には部屋が悲惨なことに。さらに新品の毛布や靴を嚙みちぎるのも、もはや趣味となっていた。冬用に買った新品犬用毛布も、結局ボロボロにしてから使っていた。

誰かの帰宅と新品の破壊、これらがアキの家での楽しみであった。あとパンが大好きだった。

エピソード

ロボちゃん
アキがうちに来て間もない時のある日。小学校から帰宅すると、飼っていたハムスターのロボちゃんがゲージから出て玄関で死んでいた。好奇心旺盛なアキが脅かして、ショック死してしまったみたいだ。もちろん他の可能性も考えられる。
私が帰宅した時、アキはロボちゃんを心配そうに見ていて、どこか落ち着かない様子だった。それは好奇心がある時の仕草とは違った。根は本当に優しいワンコなんだ。アキを攻めたくなかった。そしてロボちゃん、ごめん。 
打ち上げ花火
アキは打ち上げ花火が一番嫌いだった。花火というよりあの発砲のような音。この音への怯え方は尋常じゃなかった。そして家の近くでは毎年お祭りがあり、花火の度に鳴いて怯えていた。
ある日、親戚と一緒に車でお祭りに行った。アキとまいちゃんも一緒だ。
打ち上げ花火の時間になり、花火が始まった。そして打ちあがった瞬間、2匹の犬は鳴いて怖がった。アキはハーネス付きの首輪をものすごい力ですり抜けて、そのまま脱走してしまった。そしてその日は全力で探すも見つからなかった。
その後、2~3日探しても見つからず。もうダメかと思っていたらおじいちゃん家から連絡が入り、「アキがおじいちゃん家にいる」と。アキは自力でおじいちゃん家にたどり着いたのだ。
そして無事みんなで家に帰った。その時のアキの横顔は、以前より野性味を帯びていたように思える。
手術
10歳になる前ぐらいで手術をした。お尻からちょっと血が出ていて病院へ連れて行った。原因は子宮に膿が溜まっていたことらしい。そして子宮を取る手術をした。ちなみに本当はもっと若い頃にやる手術だ。
きっと子供欲しかったんじゃないか。アキはこんな風に飼われる命によかったのだろうか。いろいろ思ったが、それは誰にも分からない。
ついでにアキが入院中の話になるが、どうやら点滴を噛みちぎったらしい。もともと服を着せようとしても嫌がり嚙みちぎる犬だったため当然である。話を聞いた時は「あ~アキはアキなんだなぁ」となんだか誇らしかった。

10代突入

10代になり、犬としての貫禄が出てきたアキ。通りすがる若手のワンコには、見向きもしなくなった。見た目は体力があり、まだまだ衰えず絶好調。しかしこの頃から調子が悪くなることが増えた。

急に走らせると倒れて湿疹してしまう。それは歳を取るにつれて頻度を増していく。私たちも何度か失敗した。後ろから車が来る時などは焦らしてしまい、走らせて湿疹させてしまうこともあった。 なおアキのペースで徐々に走りを加速させている時は問題はない 。その違いを注意している内に私は、アキの安全な歩幅や速度などを感覚的に覚えていった。普段は前を歩くアキが私と並んだり、後ろを歩いてる時は感覚的に速度を合わせなければならない。

一方家族は兄弟が大きくなるにつれ皆忙しくなり、「散歩だれ行く」は「散歩だれが行ける」に変わっていた。父の帰りは遅く、兄弟は上から順に忙しくなっていった。必然的に末っ子の私はよく世話をした。私が忙しくなると母が世話をしていた。私は外で何かに集中していると正直アキのことを忘れてしまっていた。だが帰るとちゃんと反応してくれるアキ。当たり前のようにそこにいてくれた。

私は留学で10ヶ月家を空けた時もあった。そこでの日々は、言語が通じない人々との生活。通じる通じない。分かる分からないということのどうでもよさに気付いた。何でも五感での理解を信じきれば良いというものではない。自分の中の情報と他との関係を結び付けて他との関係性を発展させるような、成長する力を信じれば何となく上手くいく。大事なことはそこにあり、そこで一緒に生きていることだと感じた。それがアキにも結びついた。アキが何を思っているのか最後まで分からなかったが、言語は後からついてくるからそれでいいのだ。

そしてその時ぐらいから、今後アキが老犬になったら誰かが家にいないといけないと私は悟っていた。